着物デザイナーとして言いたいことはたくさんある!!(2)
着物デザイナー木越まりの着物日記ブログ(毒舌あり)
着物デザイナーの木越まりです。
あっという間にお正月も終わり。明日や明後日は成人式ですね。
昔、勤めていた「撫松庵」という着物のブランドで、振袖のデザインも描いていたので、成人式はカメラを持って成人式会場をいくつか見に行き、入場前の女子たちの振袖を勝手に撮影し、この年の振袖の動向をマーケティングしたものです。
でもこれって。。。
今思えばただの盗撮。。。
撮ってきた写真は写真屋さんで紙焼きし、みんなでお披露目。
「この柄は可愛いね」とか「今年はオレンジが多いね」とか勉強していただけで、悪いことには全く使いませんでしたが、
今はこんなことしていたら叱られちゃうのかな?(面倒臭い世の中だ。ブツブツ)
さて、成人式といえば。。。
実は呉服業界は超ビビっていることがあるのです。
なんだと思いますか?それはズバリ。。。
18歳成人問題!!
成人年齢を18歳に引き下げようとしている国の政策です。
これ、呉服業界では超大問題なんです!!
18歳といえば、高校3年生。
大学受験真っ只中ですよ!!!
ハチマキして、暗い部屋に電気スタンド。お母さんが「はい夜食、ここに置くわね」のあのイメージですよ!!
2月に受験本番を迎えるというのに、誰が成人式に行って市長のお話を聞いたり、芸能人の祝辞を聞いたりします???
同じ年の子がライバルで、誰もが自分だけ脱け出ようと思っている時に、中学時代の友達に会いに式場に行きます???
はい。知らない人もいるでしょうからお知らせいたしますが、成人式は住んでいる地元の式典に行くのですが、その時に集まるのは卒業した地元の中学校をベースに集まります。
誰も「お前どこ受験するの?」とも聞けないし、「この後カラオケで盛り上がろうよ!」なんて口が裂けても言えませんよ〜。
私の頃は「成人式?行かなーい」なんて言って冷めてたけれど、結構今の子供は素直で可愛く、「中学のみんなで会おう!楽しくお話ししよう!」と、それはとてもとても楽しみにしています。
せっかく、こうして盛り上がってきた成人式。
ほとんどの女の子は初めて着る浴衣以外の着物=振袖。
ファッションの一つとして、着た事のないものを着られる嬉しさは、着物に普段全く関係のない子でも感じます。
そして男子もなんだかいつもより優しい。。。(笑)
もちろん、今や、レンタル振袖がほとんどです。
「ママ振り」と呼ばれる「お母さんからのお下がりの振袖」のお嬢さんもいます。
それらは正直言いますと、大して呉服業界には利益がありません。
でもでも、どんな振袖でもね、
振袖を着てくれて「日本人って、着物って、素敵だな❤️」って思ってくれれば良いの!!!
それだけじゃない。
時間をかけて、お支度をして、お母さんもお父さんも、おばあちゃんもおじいちゃんも、娘の(孫の)晴れ姿をどれだけ楽しみにしているか!!!
子を思う親の思い!!!
あ。。。思っただけで泣けてくる。ううぅ
この話を呉服業界内で話した時、私は耳にしました。
「じゃ〜、成人式は高校3年生の5月にやっちゃえばいいのかな〜。気候もいいしね〜」
出ました!おっさんども!!!(←ここはあえて小さい文字にしておこー)
子育てした事のない父親の発言!!!
私は19歳の娘を持つ母親です。
高校受験が終わって、ようやく高校に入り、少しゆっくりしようと思ったら、高校の最初の保護者会で言われる話は「大学受験」。
も〜またかよ〜って倒れそうになりましたよ〜。
高校3年生なんてね、1学期の成績から受験戦争真っ只中なんだよ〜。何言っちゃってるんだよ〜〜〜。
も〜〜〜、おっさんども〜〜〜おととい来やがれ〜〜〜。
大学受験する子だけじゃないよ、就職する子にとっても大変な時期なんだし。
だから、高校生の間に成人式をするのは絶対に無理!!!
国は「タバコやお酒はどうする?」の次でいいから「成人式の年齢はどうする?」を早く考えてほしい。
そして呉服業界はこういう時に一致団結してきちんと意見を述べるようにしたい。
でも呉服業界の利益のためだけに言っているわけではないのです。
日本の文化に触れる、大人になるってどういう事か考える、すごく大切な事。
そんな大切な時間を家族とともに過ごせる時にしたいじゃん。
と、成人式を前に一人、熱く思うのでした。
だから、お願い。
なんの策略だか知らないけれど、18歳から大人にしちゃっても、
成人式は今まで通り「20歳(はたち)」にして!
最後まで読んでくださって、ありがとうございます❤️
着物デザイナー 木越まり